或る日不寝番の一番に付いたら酒保処から声が聞こえて来る。
「何で余計な事をしたんだ。」 「曹長殿、あれはマズイですよ。
あの生徒等一人でも医務室行きになったら曹長殿は大変な事になりますよ。
この学校は鉄拳制裁厳禁で前の中隊の時の様に赤ベタ迄落されますよ。
私は決して喋りませんが誰かに喋られたら終りですよ。」
「偉そうな事言うな。」 「申し訳ありませんがこれは貴官の方に分が悪いですよ。」
軍曹殿は一歩も引かない。言葉は丁寧だが負けてはいない。